整音~うるさい?鳴らない?

お客様の好みを探りながら調整することは時に本当に難しい局面に遭遇することがあります。信頼関係が強固な場合は次がありますが一回勝負の場合は次がありませんので、じっくり話し合いながら作業するなど慎重に進めなければなりません。こういった準備を怠ったばかりに思わぬ失敗をすることが今もございます。特に整音については。

例えば・・・

■ほんの少しアクセルを踏み込むとスピードがでる車を選んでみる。… スピード出すなら最高。でも微妙なスピードのコントロールが難しい。

■簡単に遠くまでボールが飛ぶテニスラケットを選んでみる。…  パワフルなスピードボールを打つなら最高。でも長短を使い分けたり、コースのコントロールが難しい。

■遠くに飛ぶゴルフクラブ1本だけでプレイしてみる。… より遠く飛ばすならこれがベスト。でも飛距離をコントロールするのは難しい。

■簡単にフォルテがでるピアノで演奏してみる。… パワーがあって音色もキラキラ。でもピアニシモを使い分けるのが難しい。

整音~ハンマーの弾力性を整える

整音とはハンマーの弾力性を調整して、ある特定のタッチで弾いたときに、特定の「音量(パワー)」になるように調整することです。同時に「音色」も変化してゆきます。これを88鍵盤バランスよく整えてゆきます。

その作業の前に、ハンマーの形を整えたり、弦にうまく当たるように調整したりという作業も整音ですが、これらの作業は「弾力性を整える作業前の基本的なベース作り」となります。

金槌とゴムハンマーで「釘」を打つ

同じ重さの金槌とゴムハンマー。同じ力で釘を打った時、金槌のほうがより奥に釘が刺さってゆきます。ピアノのハンマーも同じで(同じ大きさなら)硬いハンマーのほうが強い弦振動を引き起こすことができます。でも、ほんの少しだけ釘を打ち込みたいならゴムハンマーのほうがコントロールしやすいことは想像できると思います。(実際にはゴムハンマーは役に立たないでしょうが。)

出てくる音色を想像してみると、金槌の場合は「カンカン」といった金属的な音、ゴムハンマーの場合は「ゴンゴン」といった前者よりも柔らかい音でしょう。

硬めのハンマーを好む理由

・フォルテが出しやすくて最高!
・音色が明るくてキラキラ!
・パワーがある!
・こっちのほうが断然弾きやすい!

(硬めのハンマーを好まない人が弾くと…)
・ピアニシモのコントロールがしにくいなぁ…
・柔らかい音色がでないなぁ…
・耳障りな音色でうるさいなぁ…
・弾きにくいなぁ…

柔らかめのハンマーを好む理由

・いろんなピアニシモが使える!
・フォルテも充分!
・柔らかい音色!
・こっちのほうが断然弾きやすい!

(柔らかめのハンマーを好まない人が弾くと…)
・フォルテを出すのが難しいなぁ…
・パワーがないし、鳴らないピアノだなぁ…
・音がこもってるなぁ…
・弾きにくいなぁ…

演奏者の好みに合わせるのも仕事

私達はお客様の気持ちを最優先し、長いお付き合いの中でお客様の好みを把握してゆき、結果として喜んでいただけるよう作業してゆきます。

ベストポイントを提案するのも仕事

どのピアノにも丁度よいポイントというのがあります。フォルテも出しやすい、ピアニシモも出しやすい、ちょうど中間地点を提案するのも仕事です。ホールなどの公共のピアノはこのポイントを優先します。

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